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高橋 宏明*; 舘 幸男
Applied Clay Science, 168, p.211 - 222, 2019/02
被引用回数:9 パーセンタイル:47.52(Chemistry, Physical)異なる膨潤特性をもつNa型及びCs型モンモリロナイトの微細構造と物質移行特性が、ナノフォーカスX線CTによる3次元微細構造分析と重水の拡散実験とを組み合わせて調査された。X線CT観察により、乾燥状態の圧縮Na型モンモリロナイトが飽和膨潤する過程で、連結性マクロ間隙はゲル相によって埋められ、粘土粒子のサイズは小さくなることが確認された。Cs型モンモリロナイトでは、それとは対照的に飽和過程でのゲル相の生成や粒子・間隙サイズの変化は認められなかった。X線CTによって評価された飽和Cs型モンモリロナイトの連結性マクロ間隙の屈曲度及び収れん度を含む幾何学因子は、重水の拡散試験から評価された値と整合した。Na型モンモリロナイトの場合、X線CTと拡散試験から導出された幾何学因子の差異が確認され、これは静電的相互作用による収れん度とX線CTの解像度では観察できないゲル相や層間間隙の屈曲度に起因するものと考えられた。
市原 晃; 国枝 賢; 千葉 敏; 岩本 修; 柴田 恵一; 中川 庸雄; 深堀 智生; 片倉 純一
JAERI-Data/Code 2005-004, 54 Pages, 2005/07
中性子または軽元素イオンと標的核との衝突における弾性散乱の角度微分断面積及び偏極分解能を、光学模型を用いて計算するプログラム(POD)を開発した。この計算プログラムは歪曲波Born近似を用いて中性子に対する非弾性散乱の角度微分断面積を計算することも可能である。これらの模型では、標的核が作る平均場を表現するためのパラメータ(光学ポテンシャルパラメータ)が最も重要な入力値である。本プログラムでは既存のパラメータを用いて、あるいは利用者が直接入力することによって計算を行うことが可能である。本レポートでは、計算方法及び入力データの説明を行い、幾つかの出力例を示す。
岸本 克己; 有金 賢次*
JAERI-Tech 2005-016, 83 Pages, 2005/03
現在解体を進めているJRR-2では、1997年に提出した解体届に記載されている原子炉本体の放射化放射能量に対する再評価を行った。再評価では、当初2次元体系で行っていた中性子束分布計算に3次元体系を導入し、3次元輸送計算コードTORTを用いて計算することにより、多様な水平実験孔における中性子ストリーミング効果の影響を精度よく評価することができた。その結果、水平実験孔及び生体遮蔽体における過剰な過大評価傾向が改善され、両構造物の合計放射化放射能量が解体届における評価の1/18(原子炉永久停止から1年後の場合)まで低下した。それに伴い、両構造物が6割程度を占めていた原子炉全体の放射化放射能量に対する割合も大きく低下し、放射化放射能量の上位構造物が変化することとなった。このことは、多様な実験孔を多く持ち、炉体形状が複雑な研究用原子炉の放射化放射能量評価における3次元体系導入の有効性を示している。再評価による原子炉本体の放射化放射能量は、制御棒,熱遮蔽板及び水平実験孔に依存し、原子炉永久停止から1年後では1.910Bqとなった。
明午 伸一郎; 野田 文章*; 藤森 寛*; 池田 裕二郎
Proceedings of ICANS-XVI, Volume 3, p.967 - 976, 2003/07
J-PARCの核破砕中性子ターゲットには1MWの出力を持った3GeV陽子ビームが入射するが、この陽子ビーム輸送ライン(BT)において、ビーム損失はハンズオンメンテナンスを達成させるために1W/m以下にする必要がある。しかし、加速後のビームの位相空間分布が全く不明なために、シンクロトロン内に設置したコリメータのアパチャーで決定されるエミッタンス(324mrad)のビームを全て輸送可能なものとした。本研究では、加速器出射等によるビーム軌道の外乱を評価した。現状の設計に合うためには、電磁石磁場の均一性は偏向及び四極電磁石において、それぞれ5x10及び2x10よりも良くする必要があることがわかった。また、アライメントの誤差は1mm及び1mrad以下にする必要がわかった。
中谷 健; 田中 均*; 高雄 勝*; 安居院 あかね; 吉越 章隆; 竹内 政雄*; 青柳 秀樹*; 大熊 春夫*
JAERI-Tech 2003-048, 29 Pages, 2003/05
SPring-8原研軟X線ビームライン用挿入光源ID23は高速で位相駆動を行うのでその磁場変動は頻繁に発生する。その影響を抑えることを目的として、軌道変動抑制用補正励磁テーブルの作成を行っている。ビーム軌道変動データとID23の動きの相関を測定し補正テーブルを作成するためのデータを取得したので報告する。
五十嵐 潤一; 長尾 辰哉*
Journal of the Physical Society of Japan, 72(5), p.1279 - 1286, 2003/05
被引用回数:13 パーセンタイル:61.11(Physics, Multidisciplinary)DyBCにおける四重極秩序相におけるDyのL吸収端における共鳴X線散乱スペクトルを研究した。BとC原子の層の ゆがみを解析して、副格子ごとに違う主軸をもつ結晶場の有効モデルを構成した。5d状態はバンドとして扱い、4f状態は局在状態として扱い、双極子近似の範囲でスペクトルを計算した。格子歪が直接5d状態を変調する機構と格子歪により変調を受けた4f状態がクーロン相互佐用を通して5d状態を変調するとの機構の両方を調べて、前者の機構が圧倒的に大きいことを見いだした。
高橋 学*; 五十嵐 潤一
Physica B; Condensed Matter, 329-333(Part2), p.870 - 871, 2003/05
被引用回数:2 パーセンタイル:15.16(Physics, Condensed Matter)KCuFにおけるCu K 吸収端における共鳴X線散乱を、LDA+U近似をもちいたバンド計算に基づき研究した。格子歪みはインプットパラメーターとして取り扱った。K-吸収端のまわりの光子エネルギーの関数として、実験スペクトルをよく再現する結果を得た。スペクトルは磁気秩序や軌道秩序とはほとんど関係なく、おもにヤーンテラー歪みの大きさに依存することが明らかになった。
高橋 学*; 薄田 学; 五十嵐 潤一
Physical Review B, 67(6), p.064425_1 - 064425_7, 2003/02
被引用回数:21 パーセンタイル:68.23(Materials Science, Multidisciplinary)KCuFにおけるCuのK端での磁気共鳴X線散乱スペクトルを第一原理計算から求めた。フルポテンシャルLAPW法を用いて、格子歪みは実験から得られたものを入力した。スピン軌道相互佐用を考慮することで、磁気秩序に対応する超格子点でのブラッグ強度の実験結果を良く再現する結果を得た。また、軌道秩序に対応する超格子点でのブラッグ強度もよく再現でき、その強度が格子歪から来ていることを明らかにすることができた。
堀 富栄*; 土屋 佳則; 白石 洗*; 石井 慶信; 北條 喜一
Applied Physics A, 74(Suppl.1), p.S743 - S745, 2002/12
被引用回数:3 パーセンタイル:16.11(Materials Science, Multidisciplinary)-MnPt合金の結晶変位(歪み)と磁気感受性に関してX線及び中性子散乱解析手法を用いて調べた。その結果、8at.%Pt合金は、各軸の単位長さa=3.807,b=3.748,c=3.685を有する面心斜方晶構造を示し、10Kでnon-collinear非磁性構造を持つことがわかった。また、450Kでc/a1構造を持った斜方晶に構造変化し、ニール温度近傍の510K最終的に立方晶に変化することを明らかにした。さらに、12at.%Pt合金は、10Kでc/a1で=2.58/Mn特性を有する面心正方晶構造を示し、325Kで立方晶に変化することを明らかにした。
上島 豊
第8回ビジュアリゼーション・カンファレンス論文集(CD-ROM), 12 Pages, 2002/10
特殊相対性理論はアインシュタインが発見したことで有名である。それは、超高強度レーザーと物質の相互作用に関する我々の研究において最も重要な理論の1つである。その理論の名前はよく知られているが、その世界を理解することは非常に難しい。それゆえ、相対性理論の世界を体験するためのソフトウェアをOPENGL Scene GraphというOPEN SOURCEのライブラリを用いて開発した。このソフトウェアは、通常の表示方式の他に偏光フィルター方式の簡易バーチャルリアリティー表示モードにも対応している。このソフトウェアを使うと相対論効果による視野のひずみ現象やドップラーシフトなどを体験することができる。これらの相対論的現象は、グラフや式では理解することが難しい。このソフトウェアと簡易バーチャルリアリティー装置を使い、いしかわe-サイエンス2002と原研木津サイエンスキャンプ2002のほか多くの原研木津地区の見学者に対して特殊相対性理論の世界を紹介し、多くの人に興味を持っていただいた。
中平 昌隆; 柴沼 清; 梶浦 宗次*; 渋井 正直*; 小泉 興一; 武田 信和; 角舘 聡; 田口 浩*; 岡 潔; 小原 建治郎; et al.
JAERI-Tech 2002-029, 27 Pages, 2002/03
ITER工学設計活動(EDA)において、日本,ロシア,アメリカによる国際協力の下、真空容器製作技術の開発を進めた。開発では、実規模の真空容器セクタモデル及びポート延長部の製作・試験により、真空容器製作・組立技術に関する重要な情報として、製作時及び現地組立時の溶接変形量,寸法精度と許容公差を得た。特に、真空容器セクタの製作時及びセクタ間の現地溶接時における寸法公差3mmと10mmを達成し、要求値である5mmと20mmをそれぞれ満足した。また、遠隔溶接ロボットによる作業性の確認を行った。本報告では、厚板で変形を抑えるための溶接方法や、セクター間現地溶接部の溶接技術及び遠隔溶接技術など真空容器製作技術開発のプロジェクトを通じて得られた製作,組立技術の開発成果について報告する。
堀田 貴嗣; Dagotto, E.*
Physica B; Condensed Matter, 312-313(1-4), p.700 - 702, 2002/03
被引用回数:2 パーセンタイル:14.65(Physics, Condensed Matter)遷移金属酸化物の複雑なスピン・電荷構造を理解するために、軌道自由度の役割を議論する。マンガン酸化物に対しては、強磁性相における対角線方向の電荷ストライプ構造が、反強的な軌道秩序によって誘起されることを示す。一方、ルテニウム酸化物に対しては、新奇な軌道秩序がG-タイプ反強磁性相の安定化に本質的に重要であることを見い出したが、この軌道秩序は、最近X線吸収によって観測された奇妙なホール分布をうまく説明する。
今野 力
Progress in Nuclear Energy, 39(2), p.167 - 179, 2001/08
被引用回数:11 パーセンタイル:61.99(Nuclear Science & Technology)新たに整備した3次元SnコードTORT用の一回衝突線源計算コードFNSUNCL3のテストをかねて、小林が提案したボイドがある単純配置に対する3次元放射線輸送ベンチマーク計算を行った。また、比較のために、MCNPコードを用いても計算を行った。その結果、FNSUNCL3を用いたTORT計算は、レイエフェクトが解消され、小林の解析解、MCNP計算とも5%以下で一致し、FNSUNCL3コードが妥当であることを示すことができた。
小迫 和明*; 今野 力
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.475 - 478, 2000/03
3次元Sn計算コードTORTを用いた計算でのレイエフェクトを解消するために、TORT用の一回衝突線源計算コードFNSUNCL3を開発した。基本的な考え方は2次元SnコードDORT用の一回衝突線源計算コードGRTUNCLと同じであるが、コーディングは独自に行った。FNSUNCL3の特徴は、(1)x-y-z座標系の形状だけ取り扱うことができる、(2)複数の線源を設定できる、(3)TORTの入力データと共通である部分を省略することができる、(4)サブメッシュ分割機能により非衝突線源の精度を高めることが可能、等である。このFNSUNCL3で計算された一回衝突線源をTORTで使用できるように、TORTコードの修正も行った。テスト計算として、ボイドのある簡単体系で1群計算を実施した。計算結果にはレイエフェクトは現れず、また、理論解析、MCNP計算と10%以内で一致し、本計算システムの妥当性を確認した。
今野 力
Mathematics and Computation, Reactor Physics and Environmental Analysis in Nuclear Applications, p.1755 - 1764, 1999/09
決定論的手法による3次元放射線輸送計算コードを用いたボイドのある体系での中性子束の計算精度を調べるために、ボイドがある単純配置に対する3次元放射線輸送ベンチマーク問題が小林によって提案されている。このベンチマーク問題を原研FNSで新たに整備した3次元SnコードTORT用の一回衝突線源計算コードFNSUNCL3及びTORT3.2を用いて計算した。比較のためにモンテカルロコードMCNP4B2を用いた計算も行った。その結果、FNSUNCL3で計算した一回衝突線源を使ったTORT計算結果にはレイエフェトクがあらわれず、小林の解析解、MCNP計算とも10%以内で一致し、FNSUNCL3コードの妥当性を明らかにすることができた。
中村 寿; 平林 孝圀; 秋本 純*; 高橋 賢次*; 進藤 秀明*; 櫻井 大八郎*; Almansour, A.*; 岡根 利光*; 梅田 高照*
Proceedings Modeling of Casting & Solidification Processes 4, 1999, p.437 - 445, 1999/09
原子炉の解体により発生するレベルの低い放射性廃棄物の再利用を目的に、鋼板製の型枠に放射性金属の溶湯を流し込み、鉄球により除熱を行うことで廃棄物収納容器の鋳造を行うことを想定した鉄球-金型複合鋳造法にかかわる試験、及び鋳造した容器内に放射能レベルの高い廃棄物を置き、溶湯で固定化して廃棄体とすることを想定した多重鋳造廃棄体の鋳造試験を行っている。これらの試験に関して、鋳込み時の溶湯の湯流れ性や容器の熱変形量を求めるため、湯流れ・凝固解析プログラムJSCASTにより凝固解析を、非線形構造解析プログラムMARCにより変形解析を行った。本論文は、これまでに実施した鋳造試験の概要及びその結果と凝固・変形解析結果との対比について述べたものである。
久保園 芳博*; 三村 和江*; 高林 康裕*; 前田 裕宣*; 柏野 節夫*; 江村 修一*; 西畑 保雄; 宇留賀 朋哉*; 田中 庸裕*; 高橋 昌男*
Journal of Synchrotron Radiation, 6(Part3), p.564 - 566, 1999/05
擬一次元系ポリマーであるRbCの約50Kでの金属-絶縁体相転移の起源を明らかにするために、RbC安定相のRb-K吸収端でのXAFSが、14.6から210Kの温度範囲で測定された。XAFSによって決められたRbとCの原子間距離と平均自乗変位は50Kで異常を示さず、その金属-絶縁体相転移はSDW不安定性を起源としていることが示唆される。
中村 寿; 平林 孝圀; 秋本 純*; 高橋 賢次*; 進藤 秀明*; 櫻井 大八郎*; Almansour, A.*; 岡根 利光*; 梅田 高照*
Int. J.Cast Metals Res., 11(5), p.339 - 343, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Metallurgy & Metallurgical Engineering)原子炉の解体により発生する低レベル放射性廃棄物の再利用を目的に、放射性の金属を再利用して廃棄物収納容器の鋳造を行うことを想定した新しい鋳造方法の開発を行った。この方法の特徴は、鋼板製の型枠に金属の溶湯を流し込み、繰り返し使用ができる鉄球により除熱を行うことで容器を鋳造することにある。鋳造試験はおもに容器の一部を模擬した部分試験体や小型試験体等を用いて行った。また、鋳込み時の溶湯の湯流れ性や型枠の熱変形量を求めるため、湯流れ・凝固解析プログラムJS-CASTにより凝固解析を、非線形汎用構造解析プログラムMARCにより変形解析を行った。本論文は、この鉄球複合鋳造法による廃棄物収納容器の鋳造試験を対象に、鉄球複合鋳造法の概念、鋳造試験の結果及び凝固解析や変形解析から得られた知見について述べたものである。
根本 俊行*; 川井 渉*; 川崎 信夫*; 渡辺 秀雄*; 田辺 豪信*; 鈴木 信太郎*; 原田 裕夫; 庄司 誠; 久米 悦雄; 藤井 実
JAERI-Data/Code 97-051, 142 Pages, 1997/12
本報告書は、平成8年度に計算科学技術推進センター情報システム管理課で行った原子力コードのVPP500における高速化及び移植作業のうち、ベクトル化作業部分について記述したものである。原子力コードのVPP500における高速化及び移植作業は、平成8年度に11件行われた。これらの作業内容は、同種の作業を行うユーザに有益な情報を提供することを意図して、「並列化編」、「ベクトル化編」、「移植編」の3冊にまとめられている。本報告書の「ベクトル編」では、中性子・光子輸送計算コードDORT-TORT、気体流動解析コードFLOWGR、相対論的ボルツマン・ウェーリング・ウーレンベック法によるシミュレーションコードRBUUに対して行ったベクトル化作業について記述されている。
塩飽 秀啓
放射光, 10(2), p.69 - 72, 1997/04
SPring-8等の第三世代大型放射光施設では、挿入光源、特にアンジュレータ光源が主体となる。今までに経験したことのない程、大強度の放射光の位置を常時モニターすることは、精密実験を行う利用者側からだけでなく、挿入光源の調整や最適化、蓄積リングの低エミッタンス運動など、光源側や蓄積リング側からも求められている。今回、カーボンワイヤー型光モニターを開発し、高エネ研トリスタン主リングの放射光ビームラインに設置して基礎的な性能評価を行った。その結果、10GeV,10mAという条件下で、挿入光源放射光のプロファイルに位置を測定できた。このX線用光モニターでは、挿入光源のギャップ値変更による光のプロファイル変化にも対応でき、放射光の重心を測定することで、光の中心位置を検知することができた。また、後方の利用実験に影響を与えることなく、常時測定できることがわかった。